群馬大学工業会東京連合支部講演会 報告 2009/3/28(土)
 東京連合支部では、平成20年度締めくくりの行事として、連合支部主催/東京CRO(株)後援の基で、「切らずに」治すがん治療重粒子線治療−と題して講演会を開催いたしました。
 群馬大学では既に世界最先端の画期的がん治療法として、重粒子線治療装置を用いた低侵襲がん治療施設「群馬大学重粒子線医学研究センター」の建設を行っており、平成21年度より実際のがん治療を開始いたします。講演では同センターの中野 隆史教授により、この治療法が紹介されました。また、東京CRO(株)の講師により、現在のがん化学療法及び物理療法の最新情報も合わせて講演が行われました。
 工業会本部から戸叶常雄理事長、顧問の高橋 哲氏はじめ、神奈川連合支部長:関根範明氏、千葉支部長:岸 弘夫氏等を招いて、工業会関係者・会員約70名、東京CRO(株)関係者約30名、総計100名あまりの聴講者を集めて開催されました。
 演題1は、東京CRO(株)事業開発本部 副本部長の森本 眞氏により「化学療法によるがん治療」についての話。森本氏は協和発酵工業(株)(現協和キリン)で永年「制癌剤の研究開発」に携わって来られ、局所治療後に再発したがんの全身療法や、術前化学療法、DNAに作用させる併用化学療法等種々のがんに対してたくさんの制癌剤を@単一制癌剤(単剤)で治療したり、2剤併用療法で行ったりする方法と、これに対する副作用などについてお話があった。
 演題2は、東京CRO(株)事業開発本部 本部長の長谷川 僚三氏により「物理療法によるがん治療」の話。長谷川氏は、帝人(株)で主として医療機器の研究開発に従事し、その後西山利巳氏と東京CRO(株)を設立された方で、がん治療について解りやすくお話された。
 物理療法とは水、熱、光、電磁波、電気、機械的な力など種々の物理的作用要素を用いて行う治療法の総称。温泉療法、気候療法も含まれる。がんの治療効果判定方法や生存率、がん細胞が正常細胞に比べて熱に弱いという性質を利用して治療を行うハイパーサーミア(温熱療法)、ガンマ線(コバルト60)を使ったガンマナイフ光力学(的)療法 PDT:レーザー光照射により化学反応し、活性酸素によりがん細胞を死滅させる方法等、興味深い話でした。
 最後に本日の主講演である「重粒子線療法によるがん治療」と題して、群馬大学大学院医学系研究科 教授:中野 隆史氏が最前線のがん治療について解りやすく、大変興味深いご講演をしていただきました。
 冒頭に述べたように、群馬大学重粒子線照射装置は重粒子(炭素イオン)を最大で光のおよそ70%のスピードに加速して体の外から照射し、体の深部のがんを殺傷して治療する装置です。この炭素線を使ってがん治療を行う施設は、日本では、千葉県の放射線医学総合研究所重粒子医科学センターについで群馬大学が二番目の施設です。中野 隆史先生は、放射線医学総合研究所で永年研究をされ、現在群馬大学重粒子線医学研究センターで重粒子線がん治療に中心となって取組んで居られ、この春より同センターのセンター長に就任されております。
 重粒子線治療の副作用は従来の放射線治療に比べて格段に少ないのが特徴。この治療法は、重粒子の線量を、体の奥深くにあるがん組織の部分で最大にすることで、切らずに治療を行うことができ、がんの手前や奥の正常組織への影響が少なくてすみます。また、重粒子線照射中に痛みはありません。
 重粒子線治療の3つの特徴 @がん病巣にだけ照射 A一般の放射線が効かないがんにも効く B短期間(最短1日)で治せる等大きな特徴を有す。
  講演終了後、約70名で懇親会を開催し、理事長挨拶後、皆で懇親を深め、午後7時散会した。
(東京機械建設支部長 野尻 貞夫 38M)
以上

中野 隆史先生の講演風景
戸叶常雄理事長の挨拶と懇親会風景

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